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片山喜章のページ ~思い・願い・提言~
2017年3月8日 水曜日

ユナタン:31≫  in  種の会

《移行期保育のさなか、来年度に向けて》

平成29年3月8日 理事長 片山喜章

学校では4月に新しい担任が発表されます。多くの園も同様です。4月を迎えると、にわかに保育室が変わり、あわただしくなりますが、いま各園において、既に新しい担任たちは、幼児会議、乳児会議を開いて次年度の保育について、あれこれと話し合っています。

新担任が発表されると、保護者の方の間では“ああだ、こうだ”とお声があがるものです。特に持ち上がりに関しては業界内でも賛否があります。確かに、0歳児から1歳児、1歳児から2歳児に進級する時は、また、1階から2階(その逆もあります)へ保育室が移動する時、担任は持ち上がる方が安心できるかもしれません。しかし実際問題、子どもではなくて、新担任との話しやすさ等、保護者の方々が不安になることが大半です。どうか、新担任に慣れていただきたいです。

 

私自身、担任は持ち上がりしないで、総変わりすることがダイバーシティを意識した今後の保育のあり方として望ましいと考えています。なかなか新担任に慣れない子は、個別の配慮の中で対応し解消すべきことです。それよりも、移行期保育をしっかりすることが大事だと思います。

移行期を設けるのは、4月のゴタゴタした雰囲気のなかで新入園児を迎えると、さらにゴタゴするのを多少なりとも緩和するためです。移行期保育をしない方が奇妙に思えますが、どうも、日本中、慣れっこになっているようです。0歳児、1歳児の4月の保育室は悲鳴や号泣が響き渡ります。保育者はおんぶと抱っこ、さらに両手に1人ずつ子どもと手を繋ぐ毎日を過ごします。

3月中に、新しい部屋と新しい生活スタイル、そして新しい先生に慣れておくことが、担任人事以上に大切であることをご理解ください。

 

子どもたちの育ちや発達は、上がったり下がったりしながら、1年を通してみると、右肩上がりに発達していることがほとんどです。園生活で最も落差が激しいのは、2歳児(子ども6人に1人の保育者が基準)が、3歳児に進級する(子ども20人に対して保育者1人)時です。

それに伴って、1階の生活から2階の生活(みやざき保育園は逆です)に変わり、ロッカーの仕様も変わったりします(世田谷はっとは2歳児から幼児とともに異年齢保育をしています)。

この急激な変化は、どう考えても望ましいとは言えず、この落差を如何に埋めるか、そこに力を注ぐべきだと考えます。当法人では開園以来、「移行期保育」という考え方を取り入れて、この落差をできるだけ埋めて、少しでも良い状態で4月の新年度を迎えたいと願っています。ですから、運動会が終わった頃から年齢別の保育において、次年度の生活スタイルを見据えた取り組みを意図的に行なっています(クラス内でのセミバイキングスタイルの食事、階段の上り下りなど)。

次年度の保育を描くとき、もう少し「保育の見せる化」=「育ちの見える化」を志向しようと練っているところです。これまでも保育の様々な場面をトピックとして切り取って掲示してきました。

しかし、それがどのような育ちにかかわることなのか、しっかりお伝えしていなかったように思われます。“楽しそうな姿”や“がんばっている様子”を単に写真にして貼り出すだけでは、充分であるとは言い難く、「こんな力が育まれています」「こんな力が育った現れです」ともう少し深入りする必要を感じています。それは園や保育者の側にとっても、保育の意図や成果を確認するうえでも、価値のある取り組みだと考えられます。

 

《保育をもう少しワイドに見直す》

良い保育、良くない保育という線引きは、全国各地で自己流に行われているのが現状です。それ自体、多様性の現れで好ましいことですが、視点が“硬直したまなざし”であったり、思考が“原理主義”であったりする現状が幅広く存在します。今、話題の教育勅語に対しても賛否で思考するパターンが多数派ではないかと思います。私論では、人類史的に文明の進歩と思考の進化のバラツキの賜物だと考えています。勅語自体、好ましい内容ですが個々人の内なる気持ちして湧き出ることが大事です。支配者は個々人が湧き出るような風土を醸成するのが努めであり支配者が言語化して求める事ではないですね。(ややこしいので、また、別の機会に)

 

幼児教育界では、素晴らしい論客たちが盛んに「何かができるようになるのが目的ではない」、「フラッシュカード(漢字カード)」は、前頭前野がはたらいていないし無意味。など、アンチヤラセの思考から抜け出せないです。一方、「これができるまでおやつは無し」「失敗したらグランドを走ってこい」と体罰をあたえる旧式の思考で教育を捉える人たちもいます。私(たち)は、双方を止揚した立ち位置にいます。あやとり、お手玉、コマ回しなど伝統遊びは子どもが体験し上達したいと願うような仕掛けを設けて後押し、また、できない子へのケアに努めたいと考えます。

 

法人の理念は、お互いに影響を授受しながら、各園各様に方針を立てること。そして各園はその違いを“優先順位の違い”として心底、認め合うことです。それは、これからの地域社会や国家観、世界のあり方に通じる“進化の先端にある思考方法”だと考えています。

フラッシュカードも毎日5分間だけなら、弊害より効果が高いと考えられます。縄跳びも毎日、5分間なら問題ないです。これもまた「保育の見せる化」=「育ちの見える化」の一端であると同時に、現代という時代にマッチしたワイドな実践の形という考え方に至っています。

今後担任と管理職が共に《子どもの言動の意味》を探求して対応し《日々の保育》をいっしょにPDCAする。 これこそが「見せる化」、「見える化」の両輪になるとイメージしています。